環境省では、国立公園内において率先して脱炭素化に取り組むエリアを「ゼロカーボンパーク」として登録しています。ゼロカーボンパークとは、国立公園内において電気自動車等の活用、国立公園内に立地する利用施設での再生可能エネルギーの活用やエネルギーの地産地消等の取組を進め、国立公園の脱炭素化を目指すもので、脱プラスチックやゴミの減量化等の地域課題の解決も含めて、サステナブルな観光地づくりを実現していくエリアです。

磐梯朝日国立公園では、吾妻連峰の東裾野に位置する「土湯温泉」、「高湯温泉」がゼロカーボンパークに登録されています。両温泉地は、温泉熱による発電などを通じたサステナブルな観光地づくりを進めています。

① 土湯温泉

国立公園ならではの自然環境や文化を活かし、サステナブルな温泉観光地を目指すため、「土湯アクション20-25」による取組を推進し、保養温泉地としての魅力向上を図っている。東日本大震災からの復興再生のため、小水力発電やバイナリー発電を通じ、再生可能エネルギーによる地域おこしに取り組んでいる。

▲秋の土湯温泉街
② 高湯温泉

江戸時代から続く全国でも希少な温泉の泉質で、温泉街すべての浴槽が自然湧出に加え、機械による汲み上げをせず、源泉から各旅館まで自然の地形を活かした自然流下で引湯されている。平成22年6月には東北で初、全国で9番目となる「源泉かけ流し宣言」を行い、開湯以来400 年続く“ありのままの本物の温泉”をかけ流しで提供している。

▲高湯温泉全景

土湯温泉、高湯温泉での取組

①再生可能エネルギー、省エネルギー設備の導入

・温泉熱を利用したバイナリー発電施設、砂防堰堤を利用した小水力発電施設を整備
・各種補助金を活用した温泉旅館への省エネ機器の導入

▲温泉熱を利用したバイナリー発電施設
▲土湯温泉町東鴉川小水力発電所
②温泉熱の再利用

・バイナリー発電の冷却水と温泉熱を再利用して養殖した「つちゆ湯愛(ゆめ)エビ」の釣り体験実施
・高湯温泉旅館の廃湯を利用した「無散水消雪道路」の整備

▲ 「つちゆ湯愛ゆめエビ」の釣り
▲無散水消雪道路
③移動によるCO2排出削減

・Maasの活用や再生可能エネルギーを活用した充電スタンドの設置
・「クリーン・モビリティー」を運行させることでPARK and RIDE の実証実験を計画(土湯・高湯温泉郷国民保養温泉地計画書より)

▲再エネ電力による充電器(道の駅つちゆ)
④サステナブルな観光地づくりの推進

・旅館のプラスチック製品アメニティの竹製品へ切り替え、有料化実施によるワンウェイプラスチックの削減
・観光客へのマイバック、マイボトル利用の推奨によるプラスチックゴミの削減

▲オリジナルマイバックの作成
▲竹製品のアメニティ導入
⑤温泉地の魅力を高める体験学習

・自然体験の場として春から秋には「女沼」にてSUP・カヤック体験、冬は「土湯峠地区」にて雪山体験を実施
・自然湧出、自然流下によるサステナブルな温泉利用、源泉の仕組み、効能を学ぶ体験学習ツアーを開催

▲SUP・カヤック体験
▲高湯温泉の源泉見学会
⑥「新・湯治」の推進

・「土湯温泉」、「高湯温泉」ともに観光協会が「チーム新・湯治」へ参加し、連携を図りながら、温泉の保護、保養温泉地としての機能の充実、温泉の健康増進に資する利用の推進、自然景観や環境の維持保全の取組を実施

▲元気になれる温泉地での様々な過ごし方(出典:環境省)

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