
五色沼湖沼群
五色沼(「カラフルな沼」という意味)は、青緑色、緑色、銅色などの色彩で知られる約30 の沼の集まりです。1888 年の磐梯山の噴火によって、約300 の浅い沼が作られました。噴火により、磐梯山の北斜面で大量の岩屑が流れ落ちました。そして岩屑がいくつかの谷をせき止めた際にできたくぼみに、これらの沼が形成されました。 鮮やかで色とりどりの色彩は、化学物質や、水や砂に含まれるケイ酸アルミニウムなどの鉱物粒子によって引き起こされると考えられています。その色は、周囲の風景の反射や、堆積物や植生の違いにも影響されます。いくつかの沼は、磐梯山の火山活動によって水中の硫酸塩の濃度が高くなっているため、強い酸性となっています。 pH が非常に低いため、水生生物が暮らすことのできない沼もあります。
地質学者らは高地の湖から流れた水が、これらの沼によってろ過されていると考えています。銅沼は、磐梯山の北側の斜面にある火口湖で、いくつかの他の沼に流れ込み、ミネラル含有量に影響を与える源泉だと考えられています。
五色沼自然探勝路を90 分ほど歩くと、これらの池のうち、10 の池の前を通ることができます。

毘沙門沼
毘沙門沼は五色沼湖沼群の中で最大の沼で、五色沼とは磐梯山が1888 年に噴火した際に生じた地滑りによって近くの川がせき止められた結果作られた、約30 の浅く色彩豊かな沼と湿地のことです。
毘沙門沼は、光の具合によって青色にも緑色にも見えます。沼はそれほど強い酸性ではないため、プランクトンやフサモ属、ヒルムシロ属などの水生植物が繁栄しています。また、アブラハヤやウグイなどの数種類の魚もこの毘沙門沼に生息しています。
毘沙門沼は、ビジターセンターから続く小道に沿って西へ向かって歩くと最初に出会う池です。毘沙門沼はこの小道上では、手漕ぎボートをレンタルして水面から景色を楽しむことができる唯一の沼です。沼の名前は、仏教の神様の四天王の1 人であり、室町時代(1136 年–1573 年)から崇拝されてきた日本の七福神の中の1 人、「毘沙門」に由来します。

赤沼
赤沼は、磐梯山が1888 年に噴火し、地滑りによって近くの川がせき止められた結果作られた、約30 の浅くカラフルな沼と湿地が集まった五色沼の1 つです。
赤沼には、磐梯山の北斜面にある火口湖である酸性で鉄分の豊富な銅沼の湧水が流れ込んでいます。赤沼という名前にもかかわらず、水は通常、わずかに赤い色合いの緑がかった色にみえます。この赤い色は、池に生息しているヨシや他の水生植物の根に蓄積している赤サビの残りから生じています。

深泥沼
深泥沼(泥が深い沼)は、磐梯山が1888 年に噴火し、地滑りによって近くの川がせき止められた結果作られた、約30 の浅くカラフルな沼と湿地が集まった五色沼の1 つです。
深泥沼は、五色沼自然探勝路で最も小さな沼の1 つです。深泥沼には複数の地下水源から流れ込むために沼の水色が変化し、まだらのような色になっているのです。沼の色のグラデーションは、水質、植生、光の質の違いに応じて、青緑または黄緑から、鋼青色の間で変化します。

弁天沼
弁天沼は、磐梯山が1888 年に噴火し、地滑りによって近くの川がせき止められた結果作られた、約30 の浅くカラフルな沼と湿地が集まった五色沼の中で2 つ目に大きい沼です。
青、緑、乳白色の弁天沼は、五色沼で最も酸性度が強い沼の1 つであるため、冬には凍りやすくなります。弁天沼の底では、池沼で育つコケの一種であるウカミカマゴケが厚いマットを形成しています。
弁天沼の名前は、仏教で水と芸術の女神である「弁天」にちなんで名付けられました。弁天は、室町時代(1136 年–1573 年)から崇拝されてきた日本の七福神の中の1 人でもあります。

瑠璃沼
瑠璃沼(ラピスラズリの沼)は、磐梯山が1888 年に噴火し、地滑りによって近くの川がせき止められた結果作られた、約30 の浅くカラフルな沼と湿地が集まった五色沼の1 つです。
瑠璃沼は青、緑、乳白色をした沼です。専門家はこの不思議な色は、水中のカルシウムイオンおよび硫酸イオンの濃度が高いことに起因すると考えています。また、沼の底でウカミカマゴケが厚いマットを形成していることが、沼の色に影響を与えているのかもしれません。弁天沼や青沼のように、この瑠璃沼には磐梯山の北斜面にある火口湖である銅沼からの、酸性度の高い水が流れ込んでいます。その結果、プランクトンや水生生物は少ししか生息していません。

青沼
青沼(青い沼)は、磐梯山が1888 年に噴火し地滑りによって近くの川がせき止められた結果作られた約30 の浅くカラフルな沼と湿地が集まった五色沼の中で最も美しい沼の1 つです。
青沼の深い青色は、夏の緑そして秋の紅葉のそれぞれと、非常に美しいコントラストをなします。青沼の上は植物が張り出しており、植物の沼に浸かった部分は白くなっているように見えます。これは植物が、噴火中に堆積した水中の酸性化合物であるケイ酸アルミニウムによってコーティングされているためです。ケイ酸アルミニウムは、五色沼の他の沼にも存在しますが、青沼ほど濃度は高くありません。
青沼は酸性度が高いため、プランクトンや魚は生息していませんが、沼の底にはウカミカマゴケと呼ばれるコケが広範なマットを形成しています。

柳沼
柳沼(柳の沼)は、磐梯山が1888 年に噴火し地滑りによって近くの川がせき止められた結果作られた、約30 の浅くカラフルな沼と湿地が集まった五色沼の1 つです。
柳沼は、五色沼の中で最大の沼の一つです。このエメラルドグリーン色の柳沼の酸性度は比較的低いため、プランクトン、ウグイやワカサギなどの魚を含む水生生物が生息しています。

中瀬沼
中瀬沼は、1888 年の磐梯山大噴火と山体崩壊のときに形成されました。この大惨事は大量の土砂を押し流しました。岩屑が川をせき止め、土石流が堆積しました。水は低地や堆積物の方へ流れ込み、中瀬沼を含むおよそ300 の湖沼が形成されました。
展望台やレンゲ沼探勝路(700m700m)や中瀬沼探勝路(1.21.2㎞)の休憩所から、中瀬沼と磐梯山の景観が一望できます。
野鳥観察小屋はバードウォッチングに最適のスポットです。数種類のヒタキやホオジロが地域内に生息しています。

桧原湖
桧原湖は広さ10.7 平方キロで磐梯高原最大の湖です。1888 年の磐梯山噴火のときに形成されました。岩なだれは村落を完全に破壊し、渓谷をせき止め、およそ300 の湖沼が形成されました。
湖の北岸には噴火を乗り越えた大山祇神社の鳥居があります。同じ神社の別の鳥居は湖に沈みましたが、水位が下がると湖面から姿を現します。湖に点在する小島は噴火による火山性堆積物でできています。
湖畔はキャンプ場として人気があり、岸辺でキャンプする人たちの姿が見えます。湖周辺の遊歩道は、ウォーキングやサイクリングに最適です。4 月下旬~11 月下旬には、モーターボートや、カヌーやペダルボートをレンタルして湖上からの眺めを楽しんでください。湖が氷結する季節にはワカサギ釣りが人気のレクリエーションです。

銅沼
銅沼は、1888 年の磐梯山の噴火と山体崩壊で形成された赤褐色をした馬蹄型の火口湖です。銅沼は、現在は非活火山になった北側山腹の森に囲まれたカルデラの中にあります。
水酸化鉄の含有度が高いので、湖水は銅赤色をしています。酸性度が高すぎて水生生物は生息できません。磐梯山の山腹にある噴気孔という無数の裂け目から、ガスが立ち上る光景が銅沼から見ることができます。
銅沼は標高1,000 メートル以上の高所にあります。地質学者によれば、銅沼の湖水が地面に染み透り、より低い場所の水源となって湧き出し、300 メートルほど下方にある色彩豊かな五色沼湖沼群に流れ込みます。銅沼と発音が同じ赤沼もその一つです。さまざまな分量の鉱物が湖沼群に流入するので、流入先の湖の色や酸性度や生態系には違いがあります。銅沼が氷結すると硫黄の色を反映して金色に輝く氷の滝「イエローフォール」が姿を現します。安全なルートを案内してくれるガイドを同伴しましょう。

雄国沼
雄国沼は、40 万年前に近くの猫魔ヶ岳が噴火し一部が山体崩壊したときに形成された湖です。雄国沼は、国の天然記念物に指定されている大湿原で有名です。6 月中旬はレンゲツツジの花が、6 月下旬~7 月上旬はニッコウキスゲの鮮やかな黄色い花が見頃です。沼の周囲や湿原には全長800 メートルの板張り遊歩道が整備されています。
雄国沼湿原探勝路には、雄国せせらぎ探勝路や雄国パノラマ探勝路から行くことができます。

百貫清水
百貫清水は、飲用できる冷たい湧水で知られる澄んだ泉です。西大巓山と西吾妻山の間を通る登山道の標高1,300 メートル地点にあります。
背の高いブナの木に囲まれた泉は、小野川や巨大な小野川不動滝の水源です。ハイカーはこの小さな池の傍らに置かれた柄杓を使って自分のボトルに湧水を補充できます。

猫魔ヶ岳
猫魔ヶ岳は、標高1,404 メートルの非活火山です。およそ40 万年前の噴火で峰の1 つが山体崩壊し、雄国沼という湖が形成されました。
猫魔ヶ岳とは「魔物の猫の峰」という意味です。この呼称は山にまつわるいくつかの化け猫伝説に由来すると言われています。最も一般的な物語は山に住む化け猫の怪談です。この猫は人間に化けて村人を誘き出し、その肉を喰らっていたそうです。仏僧の空海(追称は弘法大師:774 〜835 年)がこの猫を捕らえ、山の中腹にある巨岩群の中に封じ込めたと言われています。

磐梯山
磐梯山は、2 度の大噴火によって山容が大きく変わった、溶岩層と火山灰層でできた標高1,816メートルの成層火山です。
およそ2500 年前、磐梯山は均整が取れた山容でしたが、火山活動によって山頂が山体崩壊し、沼ノ平のカルデラが形成されました。1888 年に2 度目の噴火が起きました。マグマや溶岩によって地下水や地表水が加熱されて生じた水蒸気爆発による壊滅的な噴火でした。溶岩の流出はありませんでしたが、強力な爆発によって磐梯山の4 つの峰の一つ「小磐梯」(磐梯山北側の標高約1,800m の峰)が山体崩壊し、大規模な岩なだれを引き起こしました。
岩なだれによって11 の集落が埋没し、現在裏磐梯と呼ばれる磐梯山北側の地形はすっかり様変わりしました。岩なだれは村落を完全に破壊し、渓谷をせき止め、およそ300 の湖沼が形成されました。現在ではその美しさが磐梯朝日国立公園の大きな魅力になっています。
この地の植生は大きな被害を受けましたが、短期間で再生しました。これは政府主導の大規模な植林事業の成果でもあります。溶岩の噴出は、生態系により長期的な被害をもたらすと思われていたからです。
磐梯山の頂上に登るには難易度の異なる6 つの登山道があります。山頂から小磐梯の崩壊跡や湖沼の水面を見ることができます。これらの登山道は、7 世紀初頭から修験道の修行の場になっていました。修験道は山岳崇拝に基づく民間信仰の一つで、肉体的な苦行に耐える修行をします。5 月下旬~10 月の登山シーズンには、登山道に刻まれた修験者の足跡をたどることができます。
磐梯山は、固くなった溶岩層や、火山灰、軽石、岩屑などで構成されています。山体崩壊は、この種の火山の断面を目視できる珍しい機会を提供し、地質学上でも重要な場所になっています。現在の磐梯山は、大磐梯(1,816m1,816m)、櫛ヶ峰(1,636m1,636m)、赤埴山(1,430m1,430m)という3 つの峰で構成されています。

磐梯山の噴火による地形変化
磐梯山は当初、溶岩層と火山灰層でできた均整のとれた成層火山でした。2500 年前の火山活動によって山頂が山体崩壊し、幅1.2 キロ、深さ350 メートルの沼ノ平のカルデラが形成されました。山体崩壊前の磐梯山には標高1,430m1,430m~1,816m の大磐梯、櫛ヶ峰、赤埴山、小磐梯という4 つの峰がありました。
1888年の水蒸気爆発によって小磐梯のかつての山頂が破壊されました。爆発によって磐梯山の峰は3 つになり、壊滅的な岩なだれを引き起こし、地域一帯に岩屑が流れ込みました。現在は非活火山になった小磐梯を訪れるハイカーは、崩壊跡や、岩なだれが川をせき止めて形成した多くの湖沼(約300)が点在する周辺地域を眺めることができます。
将来の噴火を予測し、それに備えるために磐梯山の火山活動は注意深く監視されています。