外来種ってなに?
もともとその地域にいなかったのに、人間の活動によって他の地域から入ってきた生物のことを「外来種」と言います。外来種と聞くと、海外から日本に持ち込まれた生物のことを表すと思われがちですが、日本国内であっても、本来一部の地域で生息している生物が、他の地域に導入(移動)されれば、外来種となります。
共通していることは、「人間が持ち込んだ」ということ。
手で持ち込むものに限らず、種などが服や靴に付着することで、知らず知らずのうちに持ち込んでいる場合もあります。
外来種って何がいけないの?
全てではありませんが、外来種の一部は、在来種の生息地を奪ってしまったり、人を噛んだり、農林水産物を食べたりと、悪影響を及ぼすものもいます。
日本では、生態系や農林水産業、または人の健康に大きな被害を及ぼすものを「侵略的外来種」と呼び、生態系被害防止外来種リストを作っています。侵略性を評価しリスト化することにより、特に注意が必要な外来種を明確にし、国民の皆さんへ適切な行動を呼びかけることで、生態系等への被害を防止することを目的としています。また、海外由来の外来種のうち、侵略的なものを「特定外来生物」として指定し、輸入や運搬、飼育等を法律で厳しく規制しています。
外来種による被害を予防し生物多様性の保全を図るためには、外来種を「入れない、捨てない、拡げない」の三原則を守ることが大切です。
磐梯朝日国立公園の現状
国立公園は、次の世代も、今と同じ感動を味わい楽しむことができるように、すぐれた自然を守り、後世に伝えていくところです。公園内には、野生の動植物や迫力ある山岳景観、そこで暮らす人々の歴史や文化など、魅力がたくさんあります。そうした守りたい自然や景観がある一方で、多くの人々が行き交うため、外来種の侵入・定着が問題になっています。
磐梯朝日国立公園では、オオハンゴンソウやコウリンタンポポなどの植物や、ウチダザリガニなどの動物が外来種として定着、拡大しており、国立公園の景観や在来植物の生息地を脅かす存在となっています。
―磐梯朝日国立公園で見られる外来種の例―
(生態系被害防止外来種リストの評価に基づく)
総合対策外来種
緊急対策外来種:オオハンゴンソウ、オオキンケイギク、ウチダザリガニ
※全て特定外来生物(海外由来の侵略的外来種)
重点対策外来種:園芸スイレン、コカナダモ
その他の総合対策外来種:コウリンタンポポ、フランスギク
オオハンゴンソウ:
北アメリカ原産。明治時代に観賞用として日本に持ち込まれた。
キク科の多年草であり、7~9月に黄色の花を咲かせる。草丈は1~3mほど。肥沃な湿った場所を好む。
コウリンタンポポ:
ヨーロッパ原産。明治時代に観賞用として日本に持ち込まれた。
多年草で、7~8月にオレンジ色の花を咲かせる。根が横に長く伸び、群生する。
私たちができること
入れない、捨てない、拡げない
なにより大切なことは、国立公園を訪れる際に、「入れない」「捨てない」「拡げない」の外来種被害防止三原則を守ることです。
・訪れる時の荷物や靴に種子等が付かないようにする
・家から持ってきた動植物を公園内に捨てない
・見つけた外来種をまだ定着していない場所に拡げない
など、ひとりひとりが三原則を意識して行動することにより、公園内の外来種の定着・拡大を防ぐことができます。
外来種防除の取り組み
磐梯朝日国立公園では、地元団体や行政等が主体となり、外来種の防除活動を行っています。
NPO法人 裏磐梯エコツーリズム協会
裏磐梯の美しい自然から得られる恩恵(宝)をなるべく変えずに未来に伝えたい“という思いから、磐梯山などに見られるオオハンゴンソウやコウリンタンポポ、オオキンケイギク、また曽原湖などの湖沼群に見られるコカナダモやウチダザリガニ等の外来種の防除活動を行っています。
環境省 裏磐梯自然保護官事務所-パークボランティア活動-
磐梯吾妻・猪苗代地域のハイライトの一つである五色沼自然探勝路を中心に、オオハンゴンソウの防除活動を行っています。オオハンゴンソウは繁殖力が強く、また湿った場所を好むため、湖沼群が多く水が豊かな裏磐梯地区において、侵入・拡大しています。裏磐梯自然保護官事務所では、国立公園の保護や自然ふれあい活動のサポートなどを行っていただいているパークボランティアの皆さんと一緒に、根からの抜き取りや花芽の摘み取りを年に15回ほど実施しています。
●注意:特定外来生物の防除には、国等による認定のもと実施する必要があるため、公園内で見つけた場合であっても、個人がむやみに抜き取ったりすることはできません
オオハンゴンソウから国立公園を守ろう!
参考資料
福島県外来種ハンドブック~知ってる?あなたの身近な外来種~ >
外来生物法~外来生物の飼育・販売にご注意ください~ >
アメリカザリガニを野外に放さないで! >